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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第36章 第十四話 【雪待ち月の祈り】 其の弐
「オウ、お美杷坊はまた眠っちまったみてえだな」
 喜六郎が言うと、安五郎が笑顔で応じた。
「普通なら、こんな修羅場では赤子は敏感に空気を感じ取って泣き出すものと相場が決まってますが、流石はおっかさん似の豪傑だ。将来(さき)が楽しみですね」
 お彩は肩をすくめた。
「何だか賞められてるのかどうかよく判りませんけど」
「そりゃあ、賞め言葉に決まってらあな、な、安っつぁん」
 喜六郎に促され、安五郎も頷いた。
「もちろんですよ、けなすだなんて」
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