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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第36章 第十四話 【雪待ち月の祈り】 其の弐
「お彩ちゃん、ちょいと上に行って、お美杷坊を寝かしてやってきねえ。俺は安さんと話があるから、悪ィがちっと席を外してくれねえか」
「はい、判りました」
 お彩は頷くと、安五郎にも軽く頭を下げ、ゆっくりと階段を昇っていった。
 お彩の姿が消えるのを待って、喜六郎は安五郎に顎をしゃくった。
「まあ、座ってくれ」
「腰を痛めたと聞きましたが、もう大丈夫ですか」
 安五郎が訊ねると、喜六郎は苦笑した。
「俺も歳だな。何もたいしたことをしたわけでもねえのに、いきなりぎっくり腰になるなんて、ザマはねえや。マ、二、三日寝てれば、治るだろうよ」
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