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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第37章 第十四話 【雪待ち月の祈り】 其の参
「旦那さんのお心はありがたいと思いますが、安五郎さんのお気持ちもあることですし」
遠回しに断ろうとすると、喜六郎は笑った。
「大丈夫だ、お前のことだから、多分、そう言うだろうと思って、安っさんには先に気持ちを確かめてある。なに、堅苦しく考えることはねえさ。何なら、仮祝言ってことでも良い。とにかく世間的にお前と安っさんが夫婦だって証を示せば、それで良いんだ」
「旦那さんもご存知かとは思いますが、私はまだ京屋の旦那さまから正式に離縁されたわけではありません。去り状さえ貰っていない状態なんです。ですから、いくら何でも、安五郎さんと祝言を挙げるというわけには」
遠回しに断ろうとすると、喜六郎は笑った。
「大丈夫だ、お前のことだから、多分、そう言うだろうと思って、安っさんには先に気持ちを確かめてある。なに、堅苦しく考えることはねえさ。何なら、仮祝言ってことでも良い。とにかく世間的にお前と安っさんが夫婦だって証を示せば、それで良いんだ」
「旦那さんもご存知かとは思いますが、私はまだ京屋の旦那さまから正式に離縁されたわけではありません。去り状さえ貰っていない状態なんです。ですから、いくら何でも、安五郎さんと祝言を挙げるというわけには」