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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第37章 第十四話 【雪待ち月の祈り】 其の参
だが、理解し合うことは、夫婦になった後でも遅くはないでしょう。それに、この四日間、あなたの店で働く姿をずっと見ていましたから、あなたという女性(ひと)がどんな人なのかは大体は判ります。その上で、喜六郎さんからの話を引き受けても良いと心が決まりました」
 お彩は物言いたげな表情で安五郎を見た。
 安五郎が勘違いしたものか、苦笑いを刻む。
「済みませんねえ。こんな時、もっと気の利いたことを口にすりゃア、女のひとは歓ぶんでしょうが、私はご覧のとおりの朴念仁なもので、浮いた台詞の一つ思いつかねえんですよ。この歳になって、情けねえ次第ですがね。これじゃあ、所帯を持って欲しいと言ってるよりは、何かの取引をしてるような口ぶりだ」
 安五郎が照れたように、しきりに頭をかいた。
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