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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第38章 第十四話 【雪待ち月の祈り】 其の四
今日、お美杷は「花がすみ」に置いてきた。
今頃は、喜六郎が守りをしているだろう。まるで実の祖父のように喜六郎に懐いているお美杷だった。
「あなたがこんなことをなさるとは思ってもみませんでした。」
お彩は市兵衛と真正面から対峙した。
今、まさにこの瞬間、はるかに年長の同業者からも怖れられている凄腕の商人、京屋市兵衛ほどの男と真っ向からやり合おうとしているのだ。
お彩は我知らず身体が震えた。
「欲しい物を手に入れるためには、手段は選ばねえ―、それが商人というものだ。それくらいは、お前も心得ているものだとばかり思ってたがな」
市兵衛は不敵な笑みを刻んだ。
今頃は、喜六郎が守りをしているだろう。まるで実の祖父のように喜六郎に懐いているお美杷だった。
「あなたがこんなことをなさるとは思ってもみませんでした。」
お彩は市兵衛と真正面から対峙した。
今、まさにこの瞬間、はるかに年長の同業者からも怖れられている凄腕の商人、京屋市兵衛ほどの男と真っ向からやり合おうとしているのだ。
お彩は我知らず身体が震えた。
「欲しい物を手に入れるためには、手段は選ばねえ―、それが商人というものだ。それくらいは、お前も心得ているものだとばかり思ってたがな」
市兵衛は不敵な笑みを刻んだ。