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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第38章 第十四話 【雪待ち月の祈り】 其の四
そんなある日、お絹の娘が「花がすみ」に奉公していることを突き止めた時、ふと逢ってみたいという想いが浮かんだ。逢ってどうなるというわけではなかったけれど、ひとめ顔を見てみたいと思ったのだ。最初は、初恋の女を忘れられず、その忘れ形見の娘をひとめ見ようと気紛れで「花がすみ」の客となったにすぎなかった。
そして、運命のあの日、「花がすみ」の最奥の席で一人、杯を傾けていた市兵衛の前にお彩は現れた。注文を取りにきたお彩をひとめ見て、心奪われた。確かに最初は、初恋の女お絹に生き写しの外見に惹かれたのかもしれない。だが、逢う毎に、市兵衛は、お彩自身、彼女の内面に魅せられていった。
そして、運命のあの日、「花がすみ」の最奥の席で一人、杯を傾けていた市兵衛の前にお彩は現れた。注文を取りにきたお彩をひとめ見て、心奪われた。確かに最初は、初恋の女お絹に生き写しの外見に惹かれたのかもしれない。だが、逢う毎に、市兵衛は、お彩自身、彼女の内面に魅せられていった。