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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第38章 第十四話 【雪待ち月の祈り】 其の四 
 もちろん、喜六郎が激怒したこと言うまでもない。
―やっぱり、お美杷ちゃんは、伊勢さんじゃあなくて、京屋の旦那の種だったんだな。
 喜六郎は、お美杷の出生について端から真実を悟っていたようだったが、そのことで、お彩を責めたりはしなかった。ただ、お彩に何度もしつこいほど考え直すようにと迫った。
―馬鹿なことを言うもんじゃねえ。子どもは母親の許で育つのがいちばんだぜ。今ならまだ間に合う。元々、この店は俺一代で畳むつもりだったんだ。それがちっとばかり早くなったって思えば良い、それだけのことだ。そのために、お前とお美杷ちゃんの親子の仲を引き裂くなんて、できるはずがねえ。
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