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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第39章 第十五話 【静かなる月】 其の壱
あの時、一歳を迎えたばかりであった幼い娘は、お彩の中ではいまだに少しも変わってはいない。我が子の健やかな成長を祈りながらも、お彩はその一方で、お美杷が自分の知る姿のままでいて欲しいと願わずにはおれないときがある。もし、今度、道であの子を見たとしても、自分に果たして、あの子が我が子だと認識できるであろうか―、そう考えただけで、怖ろしさと哀しみに胸が張り裂けそうになるのだ。
月日が流れれば流れるほどに、お彩とお美杷の距離は大きくなり、やがて、それは永久に越えることのできない大きな河になるだろう。
―逢いたい。
お彩は思わず両手で顔を覆うと、低い嗚咽を洩らした。
月日が流れれば流れるほどに、お彩とお美杷の距離は大きくなり、やがて、それは永久に越えることのできない大きな河になるだろう。
―逢いたい。
お彩は思わず両手で顔を覆うと、低い嗚咽を洩らした。