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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第5章 第二話・其の弐
 伊勢次の隣にはお店者風の二人連れが陣取り何やら話し込んでいるが、自分たちの話に夢中で、お彩と伊勢次の会話には気を払う様子もなかった。
「お彩ちゃん、また、何か心配なことでもあるのかい?」
 伊勢次が不安げにじっとお彩を見つめた。
真顔で問う伊勢次が我が身に惚れているとは、考えたこともないお彩である。
 お彩が微笑んで首を振ると、伊勢次はいつになく生真面目な顔で言った。
「俺は頼りねえ男に見えるかもしれねえが、これでも意外に男気ってえものがあるんだぜ。なあ、お彩ちゃん、ただの客だなんて他人行儀なこと言わねえで、何でも困ったことがあったら、俺に相談してくれねえか」
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