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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第5章 第二話・其の弐
「ありがとう、伊勢次さん」
 伊勢次の真心が心に滲みる。
 だが、喜六郎との約束もある。お彩は何も言えないまま、微笑むしかなかった。お彩のそんな態度に、伊勢次の顔がふっと翳った。いつもは屈託ない笑顔の似合う丸い顔には明らかな落胆の色が浮かんでいた。
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