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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第40章 第十五話 【静かなる月】 其の弐
「判りました」
 お彩は肥前屋に折り畳んだ証文を丁重に返した。
「確かに、この証文に間違いはございません。その上で、改めてお願い申し上げます。こちらでお借りした三十両をお返しする期限を何とか少しでも先延ばししては頂けませんでしょうか」
 相手の眼を見据えて言うと、肥前屋は口許を歪めた。
「その件については既に”花がすみ”の主人喜六郎さんがお見えになって、きちんとお断りしたはずだが」
「ですから!」
 お彩はわずかに身を乗り出した。
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