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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第41章 第十五話 【静かなる月】 其の参
 市兵衛は、ふっと唇の端を持ち上げた。眉を寄せ、警戒もあらわに見上げるお彩の髪を、彼は一房取って指に絡めた。意味ありげに微笑むと、そっとその髪に口づける。その微笑は、ぬばたまの闇夜に妖しく浮かび上がる桜のように艶麗であり凄絶であった。
「お前が私に惚れていなくても、私はお前に惚れている」
 市兵衛の声が間近で囁く。
 お彩はその言葉に愕然とした。まるで言葉そのものに縫い止められでもしたかのように、身動きできなくなった。
 長くも、あるいは短くも思える沈黙が続く。
「私はあなたを今でも好きだわ」
 唐突にその沈黙を破ったのは、お彩の方であった。刹那、市兵衛の切れ長の眼(まなこ)が見開かれた。その美しき瞳には、紛うことなき驚愕の色を宿していた。
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