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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第41章 第十五話 【静かなる月】 其の参
 市兵衛の手がお彩の細い手首を掴む。怯えを宿した眼で見つめられ、市兵衛の中の情熱が更に熱くたぎった。
 二人の視線と視線が刹那、烈しく絡み合う。
「何故、こんな早まったことをした? お前は自分がしたことが何を意味するか判ってるのか?」
 耳許で熱く囁かれ、お彩は思わず眼を伏せた。
「良いのか?」
 掠れたような声が耳朶をくすぐる。お彩が小さく頷き、市兵衛はお彩の身体を軽々と抱き上げ、布団に運んだ。そっと横たえられたお彩は固く眼を瞑る。
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