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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第42章 第十五話 【静かなる月】 其の四
女は細い肩を震わせて、烈しくしゃくり上げている。おしががその前に仁王立ちになって、女を見下ろしていた。
「一体、どういうつもりだえ? お前は何さまのつもりで、見世に出ないだなんて言うんだい」
「でも、今日はどうしても頭痛がして、起きてるのもやっとなんです」
その女郎は大部屋にいる花里という女郎であった。平凡な顔立ちだが、色白で雪のようにすべらかな膚が印象的だ。お彩はあまり話したことはない女だが、大人しげでいつも一人でいることが多かった。
「また、頭痛かえ? この間は腹が痛いと言い訳して、武蔵屋の旦那の相手をお断りしたねえ? 良いかい、女郎が客をフるようになれるのは、花魁になってからの話だよ。
「一体、どういうつもりだえ? お前は何さまのつもりで、見世に出ないだなんて言うんだい」
「でも、今日はどうしても頭痛がして、起きてるのもやっとなんです」
その女郎は大部屋にいる花里という女郎であった。平凡な顔立ちだが、色白で雪のようにすべらかな膚が印象的だ。お彩はあまり話したことはない女だが、大人しげでいつも一人でいることが多かった。
「また、頭痛かえ? この間は腹が痛いと言い訳して、武蔵屋の旦那の相手をお断りしたねえ? 良いかい、女郎が客をフるようになれるのは、花魁になってからの話だよ。