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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第42章 第十五話 【静かなる月】 其の四
しかし、お職を張る花魁は表には出ない。つまり張見世には出ず、客の指名を待機して待つ。そんなところにも、ただの女郎とこの世界の頂点で華やぐ花魁の立場の差が自ずと見えている。
部屋の外ですすり泣く女の声が聞こえ、お彩は弾かれたように顔を上げた。泣き声は止むどころか、ますます甲高くなる。
それに混じって、おしがの怒声や罵る声が聞こえてきた。
誰かがおしがに叱られているらしい。お彩はたまらず、襖を開けて、外を覗いた。外側は磨き抜かれた廊下になっている。
案の定、部屋の真ん前に一人の女郎がくずおれ、うずくまっていた。
部屋の外ですすり泣く女の声が聞こえ、お彩は弾かれたように顔を上げた。泣き声は止むどころか、ますます甲高くなる。
それに混じって、おしがの怒声や罵る声が聞こえてきた。
誰かがおしがに叱られているらしい。お彩はたまらず、襖を開けて、外を覗いた。外側は磨き抜かれた廊下になっている。
案の定、部屋の真ん前に一人の女郎がくずおれ、うずくまっていた。