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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第44章 第十六話 【睡蓮】 弐
商売で強引な態度に出ることもあったに違いない。そのために生命を狙われたというのは、あながち外れてはいないのではないか。
それから数日の間、お彩は、ずっと市兵衛の身を案じ続けた。上辺はいつもと同じに見えても、心はいつも市兵衛のことを考えている。そして、その決意は、数日後、数日ぶりに姿を見せた宮大工の哲蔵と梅松から市兵衛のその後を聞いた瞬間に決まった。
市兵衛はいまだに意識が戻らないままだというのだ。京屋では、さる大藩の御殿医に無理を言って往診に来て貰ったそうだが、その診立てでは、もしやこのまま意識が戻らぬこともあるとのことだった。その診断に、京屋に連なる親戚連中の呉服問屋たちは早くも京屋の次の主人の座をめぐって物議を醸しているという。
それから数日の間、お彩は、ずっと市兵衛の身を案じ続けた。上辺はいつもと同じに見えても、心はいつも市兵衛のことを考えている。そして、その決意は、数日後、数日ぶりに姿を見せた宮大工の哲蔵と梅松から市兵衛のその後を聞いた瞬間に決まった。
市兵衛はいまだに意識が戻らないままだというのだ。京屋では、さる大藩の御殿医に無理を言って往診に来て貰ったそうだが、その診立てでは、もしやこのまま意識が戻らぬこともあるとのことだった。その診断に、京屋に連なる親戚連中の呉服問屋たちは早くも京屋の次の主人の座をめぐって物議を醸しているという。