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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第45章 第十六話 【睡蓮】 参
江戸はまだ文月の初めで梅雨明けもまだであったが、その日は真夏を思わせるほどの暑さだった。じっと座っていても、玉の汗が首筋をつたい落ちるのが判る。
「ま、何もそこまで大仰にせずとも、面を上げて下さいな」
 相手が上座に座り、言葉とは相反する尊大な口調で言う。お彩はゆっくりと顔を上げた。
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