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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第45章 第十六話 【睡蓮】 参
お知歩が口許を歪める。その微笑は、まるでお彩をあざ笑うかのようだ。
「言い方を変えましょう。それで、あなたは、どうするつもりだというのですか」
「ですから、私は旦那さまのお世話を―」
言いかけたお彩の言葉をピシリとお知歩が遮った。
「それで、もう一度、元の鞘に納まって、京屋のご新造に納まろうって腹なんだろう。お前の狙いは端からお見通しなんだよ? どうせ、色仕掛けで市兵衛さんを誑かして、まんまとこの店の身代と財産を自分のものにするつもりだったんだろうから、言わんこっちゃない。こんなどこの馬の骨とも知れない、あばずれなんぞ老舗のうちの嫁にはふさわしくないって、私はあれほど反対したっていうのに」
「言い方を変えましょう。それで、あなたは、どうするつもりだというのですか」
「ですから、私は旦那さまのお世話を―」
言いかけたお彩の言葉をピシリとお知歩が遮った。
「それで、もう一度、元の鞘に納まって、京屋のご新造に納まろうって腹なんだろう。お前の狙いは端からお見通しなんだよ? どうせ、色仕掛けで市兵衛さんを誑かして、まんまとこの店の身代と財産を自分のものにするつもりだったんだろうから、言わんこっちゃない。こんなどこの馬の骨とも知れない、あばずれなんぞ老舗のうちの嫁にはふさわしくないって、私はあれほど反対したっていうのに」