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第45章 第十六話　【睡蓮】　参

　お彩は笑った。
「良いのよ、おみよさん。旦那さまはあのとおりの方だから、ひそかに想いを寄せる女性がいたって何の不思議もないわ」
　明るく言うお彩を、おみよは少し眩しげに見つめた。
「お内儀さん、お変わりになられましたね」
　その言葉を計りかねていると、おみよが微笑んだ。
「こう申し上げては失礼ですが、随分と大人におなりあそばされたように思います。京屋を出てから、色々とおありになられたのでしょうね」
　おみよは、口には出さずとも、お彩の身に起こった様々な出来事を見通しているかのようだ。お彩が何も言えずにいると、おみよは真剣な面持ちで言った。