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第45章 第十六話　【睡蓮】　参

時折瞬く閃光が部屋に差し込み、がらんとした女中部屋をほの明るく照らし出した。稲光が対峙したお彩とお佐歩の姿を浮かび上がらせる。
　お彩は、すすり泣くお佐歩を静かなまなざしで見つめた。
「顔を上げて下さい」
　お彩は、お佐歩の傍ににじり寄り、優しく肩に手を置いた。
「私にもかつて、磯五郎さんのように、兄のように思う大切な男(ひと)がいました。私の我が儘でその男を死なせるようなことになってしまいましたけど、お佐歩さんのお気持ちはよく判ります。