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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第45章 第十六話 【睡蓮】 参
今になって、磯五郎さんの罪を公にして暴いたとしても、何の意味もないでしょう。だから、私は今のお佐歩さんのお話は聞かなかったことにします。それで、良いですね」
 お彩が念を押すように言うと、お佐歩が泣く泣く頷いた。
 市兵衛が大怪我をした夜から既に半月近い日数が経っている。奉行所では依然として捜索を続けているが、犯人らしい人物は一向に浮かび上がってこず、とりあえず探索は打ち切りになるとのことだ。
「それにね、お佐歩さん。旦那さまはきっと助かります。少なくとも、私はそう信じています。あの方は私を置いて一人で逝ってしまうような方ではありませんから」
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