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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第46章 最終話【睡蓮】 四
 何しろ熱が高いので、そうでなくとも汗をかきやすい季節、すぐに全身が汗まみれになる。お彩は市兵衛の濡れた寝間着をこまめに取り替え、浮いた汗の玉を清潔な手拭いで拭いた。
 水分補給も忘れてはならない。到底自力では水を呑むことはできないので、唇が乾けば、自らの口移しに市兵衛に水や薬湯を呑ませた。お彩は市兵衛の枕辺につきっきりで一夜を過ごした。
 明け方、お彩は浅い眠りに落ちた。
 微睡みに落ちる前、市兵衛の呼吸が随分と楽そうになったのを見て、安心したのだけは憶えいるけれど、後はそのまま吸い込まれるように眠りの底に落ちていった。
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