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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第46章 最終話【睡蓮】 四
 喉の渇きを憶え、市兵衛は眼を醒ました。
 長い長い旅から漸く帰ってきたような心持ちだ。旅の間中、ずっと暗い一本道を歩いていた。果てのない暗闇をひたすら歩いていた市兵衛は、常に孤独であった。
 しかし、そんな彼をずっと励まし続けてくれた女(ひと)がいたような気がする。
 いかほど歩き続けたかは判らない。考えているよりは長いようでもあるし、現実には短い間だったようでもある。ひたすら闇の中を歩き続けていた最中、ふと前方にかすかな光を感じた。初めは薄ぼんやりとした明かりにすぎなかったのが、次第に明るさを増してゆく。
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