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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第8章 第三話 【盈月~満ちてゆく月~】 其の弐
―たとえ一生かかっても良い。自分の心に花を咲かせるんだよ。
母の口癖は今でもお彩の生きる道しるべとなっている。その母が父以外の男と深間になりながら、父を騙して結婚したとは到底信じられない。だが、現にお彩は伊八の実子ではなく、別の男の子だという。それは母が見かけどおりの貞淑な女ではなかったという何よりの証であった。
「おっかさんは、おとっつぁんと別のひとを二股かけてたっていうの―。それとも、おとっつぁんと所帯を持ってからもまだそのひとと続いて―」
お彩が茫然と呟いた時、伊八の鋭い声が飛んだ。
「馬鹿野郎、止さねえか。お前のおっかさんは、お絹は絶対にそんなふしだらな女じゃねえ」
その言葉に、お彩は即座に反撃した。
「じゃあ、一体何がどうなって、おとっつぁんの娘でもない私が生まれることになっちまったのよ」
母の口癖は今でもお彩の生きる道しるべとなっている。その母が父以外の男と深間になりながら、父を騙して結婚したとは到底信じられない。だが、現にお彩は伊八の実子ではなく、別の男の子だという。それは母が見かけどおりの貞淑な女ではなかったという何よりの証であった。
「おっかさんは、おとっつぁんと別のひとを二股かけてたっていうの―。それとも、おとっつぁんと所帯を持ってからもまだそのひとと続いて―」
お彩が茫然と呟いた時、伊八の鋭い声が飛んだ。
「馬鹿野郎、止さねえか。お前のおっかさんは、お絹は絶対にそんなふしだらな女じゃねえ」
その言葉に、お彩は即座に反撃した。
「じゃあ、一体何がどうなって、おとっつぁんの娘でもない私が生まれることになっちまったのよ」