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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第9章 第四話 【ほたる草】 一
 だが、産婆の予言どおり、たった二カ月の間に赤児は早くも行く末は大勢の女を泣かせるであろうと偲ばれるほどで、色白の綺麗な顔立ちをしている。
「おとっつぁんは、いるかしら」
 しかし、小巻の顔は冴えなかった。お彩が敬次郎のことを誉めても少しも嬉しそうな様子も見せず、強ばったままの表情をしている。
 我がままではあったが、こんな思いつめた風な小巻を見たことはなかっただけに、お彩は不安になった。小巻の身辺で何かが起こったに違いない―、お彩の勘が告げていた。が、あくまでも奉公人にすぎないお彩に立ち入ったことを訊ねることはできなかった。
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