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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第15章 第六話 【春の雨】 其の弐
絵馬堂である。小さな堂の扉は閉ざされていたが、格子状になった両開きの扉には無数の絵馬が掛けられていた。この辺りは花の頃でも、大抵は人気もなく森閑としている。あまたの絵馬には、それぞれの人の願いと祈りが込められている。何かその無言の祈りが感じられ、一つの強大な力となって圧倒してくるような雰囲気さえあった。
陽太が何か言おうとしたその時、二人の背後からの叫び声が静けさを破った。
「手前、お彩ちゃんに何をしやがったんだ!?」
お彩は烈しい怒声に、我に返った。
陽太も眼を瞠って、突然の闖入者を凝視した。
陽太が何か言おうとしたその時、二人の背後からの叫び声が静けさを破った。
「手前、お彩ちゃんに何をしやがったんだ!?」
お彩は烈しい怒声に、我に返った。
陽太も眼を瞠って、突然の闖入者を凝視した。