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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第16章 第七話 【雪花】 其の壱
 数日ぶりに訪れる娘との語らいを楽しみにしていた伊八にとっては、がっかりすることこの上ないらしい。
 お彩は申し訳なさで一杯になったが、やはり、ここは上がり込むことはでそうもない。喜六郎はもうとっくに夕方の忙しいときに備えての仕込みにかかっているだろう。お彩は「花がすみ」のたった一人の仲居なのだから、一刻も早く帰って、準備を手伝わなければならない。
「ごめんね。また近い中にゆっくりとお休みを貰って来るから」
「ああ、判ったよ」
 伊八は頷くと、慈愛に溢れたまなざしでお彩を見つめた。
「ここんところの寒さは尋常じゃねえ。お前もよおく気を付けるんだぞ」
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