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第17章 第七話　【雪花】　其の弐

　父には父の幸せがある。父にたとえ新たに心惹かれる女が現れたとしても、お彩は文句を言うつもりは毛頭ない。むしろ、父にはもう一度、幸せになって欲しい、そして、できれば、今度こそ正真正銘の我が子と呼べる子をその腕に抱いて欲しいと思う。
―本当にそれで良いの？　良い子ぶってるけど、あなたは本当はもっと別の生き方を選びたいんじゃないの？
　どこかでもう一人の自分が囁きかけてくるのを自覚しながらも、お彩はその囁きに耳を傾けようとはしなかった。そう、これで良いのだ。あんな薄情な男のことなど一日も早く忘れて、もっと別の生き方を探した方が利口というものだ。
　そうすれば、もう哀しい想いをしなくても済む。穏やかな、心乱されることもない平凡な幸せが待っているはず。