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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第18章 第七話 【雪花】 其の参 
 その刹那、お彩を襲ったのは安堵ではなかった。その代わりに烈しい驚愕、更に衝撃がお彩を襲った。
 陽太が抱える壮絶なまでの孤独の因は、もしやその亡妻の死に根差しているのではいう考えがちらりとよぎったのだ。しかし、お彩はすぐに慌ててそれを打ち消した。
 いや、真はそのけしてかくたる証もないはずの予感が限りなく真実に近いものであることを、お彩は女の勘でその時既に悟っていた。
 だが、漸く惚れた男と結ばれた歓びの最中にいるお彩にとっては、その怖ろしい予感は、いかにしても容認できぬものであった。このことが後々、二人の間に大きな障害となって峻険な山のように立ちはだかることになるのを、お彩はまだ知らない。しかし、漠然とした怖れは既に彼女の奥深くに兆していた。
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