この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第3章 第一話-其の参-
 境内の紅葉はつい数日前までは鮮やかな紅に染め上がっていたのだが、今はもうその半分以上が葉を落としている。桜の時季と違い、紅葉の頃はさほど人の姿も見られず、広い境内は森閑としていた。中でも最奥のこの界隈は水を打ったかのように静まり返っている。
 既にその前には一輪の白菊が手向けられていた。たった今活けたばかりのように瑞々しい花を見つめながら、お絹は微笑した。
―敵わないわねえ。おっかさん。
 恐らくは父伊八もまた今日この日、亡妻の墓参りに来たのだ。伊八は恋女房の月命日に墓参を欠かしたことはない。お彩が甚平店を出てゆくまでは、いつも父娘二人で墓参りに訪れていたものだった。
 父は今でも母を忘れてはいない。多分、何者もあの夫婦の間に割り込むことはできないのだ。それほどお彩の両親は強い絆で結ばれている。たとえ死ですら二人を完全に分かつことはできない。
/1605ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ