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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第3章 第一話-其の参-
 お彩の母お絹は、この随明寺の墓地に永眠(ねむ)っている。長い石段を昇ると小さな山門があり、山門を抜け、まず本堂、三重ノ塔が眼に入る。更に先にゆくと、絵馬堂、その傍らに浄徳大和尚を祀る奥ノ院がひっそりと建ち並んでいる。奥ノ院と隣り合うように巨きな池があり、俗に「大池(おおいけ)」と呼び倣わされていた。
 大池のほとりに植わった数本の桜が満開になった様はそれはもう見事なもので、遠方からは薄桃色の霞に辺り一面が包まれているように見えた。上野の寛永寺と共に江戸の桜の名所として「名所図絵」にも記されている。
 墓地は諸伽藍の建ち並ぶ広い境内の片隅にひっそりとあった。中でもお絹の墓はその奥まった場所に位置している。亡くなってからまだ年を経てはいないので、墓石もさほど風化してはおらず新しい。「貞容絹有信女」と刻み込まれた小さな石を見つめ、お彩は静かに佇んだ。
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