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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第22章 第九話 【夫婦鳥~めおとどり~】  其の壱 
「お父様がお作りになられたものです。私などが持っているより、あなたがお持ちになった方がきっとお父様もお歓びになられるのではないかと思いまして」
 「ゆめや」は、お彩もしばしば利用する店である。他ならぬ父伊八のための半纏もこの店で一年前に買い求めた。が、父があの古着屋を訪れていたとは全く知らなかった。ましてや、父の作った簪を小文が持っているのも不思議だ。そんなお彩の胸中を見透かすように、小文が淡く微笑んだ。
「つい六日ほど前でしたか、お父様がうちの店にお越しになり、お嬢様の正月の晴れ着にと一着お求め下さったのです。この簪はそれから数日して、お父様がわざわざお届け下されました」
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