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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第3章 第一話-其の参-
 裏腹に、男への想いは日毎に募った。
 傷ついたような、あの翳りを帯びた瞳、拭いがたい孤独に覆われたまなざしがお彩を捉えて離さない。
―私はお前さんのおっかさんを知っているよ。
 まるで耳許で囁かれているかのように、あの男の言葉がまざまざと蘇る。
―いつでも心に自分の花を持つんだよ。
 母の笑顔が一瞬浮かんで消えた。
 どうやら、自分は母のようにはなれそうにもない。それはともかく、父への思慕が自分勝手な思い込みだと判った今、お彩はすぐにでも甚平店に駆けつけ、父に詫びたかった。わざわざお彩の住まいまでやって来た父に、お彩は心ない言葉を吐いてしまったのだ。父のことだから、お彩のことを怒るどころか、また何かあったのかと逆に心配しているかもしれない。
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