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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第24章 第十話 【宵の花】 其の弐
お彩は小さく頷いた。
「おみよさんと話していると、何だか、死んだおっかさんと一緒にいるみたい」
お彩は、ふいに溢れた涙を人差し指でぬぐった。
―一生に一度で良いから、心に自分だけの花を咲かせるんだよ。
ありし日の母の口癖が耳奧にありありと蘇る。
―おっかさん、私は自分だけの花を本当に咲かせられるのかしら?
お彩は心の中で母に問いかけてみたが、母は花のような笑顔を浮かべているだけで何も応えてはくれなかった。
「私は奉公人の身ではございますが、及ばずながら、内儀さんのためなら、でき得る限りのことをさせて頂くつもりでございます。どうか何なりとお言いつけ下さいまし」
「おみよさんと話していると、何だか、死んだおっかさんと一緒にいるみたい」
お彩は、ふいに溢れた涙を人差し指でぬぐった。
―一生に一度で良いから、心に自分だけの花を咲かせるんだよ。
ありし日の母の口癖が耳奧にありありと蘇る。
―おっかさん、私は自分だけの花を本当に咲かせられるのかしら?
お彩は心の中で母に問いかけてみたが、母は花のような笑顔を浮かべているだけで何も応えてはくれなかった。
「私は奉公人の身ではございますが、及ばずながら、内儀さんのためなら、でき得る限りのことをさせて頂くつもりでございます。どうか何なりとお言いつけ下さいまし」