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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第24章 第十話 【宵の花】 其の弐
心底からお彩の身を案じての言葉であることは判った。だが、今のお彩にはその気遣いがかえって重くのしかかった。
「そのようなこと、まだ確かめたわけではないのだから、判りません。おみよさん、旦那様にもこのことは絶対に言わないでね」
お彩が強い口調で言うのに、おみよは眼を瞠った。愕いているようだが、賢い彼女はそれ以上は何も言わなかった。
「判りました」
「―ごめんなさい。私ったら、おみよさんが心配してくれているのに、大きな声を出したりして」
お彩は、おみよに申し訳なく思った。
と、おみよは笑った。
「よろしいのですよ。でも、内儀さん、お身体だけは大切になさって下さいね。旦那様のためにも、そして―もしかしたら、生まれてくるはずのお二人のお子様のためにも」
「そのようなこと、まだ確かめたわけではないのだから、判りません。おみよさん、旦那様にもこのことは絶対に言わないでね」
お彩が強い口調で言うのに、おみよは眼を瞠った。愕いているようだが、賢い彼女はそれ以上は何も言わなかった。
「判りました」
「―ごめんなさい。私ったら、おみよさんが心配してくれているのに、大きな声を出したりして」
お彩は、おみよに申し訳なく思った。
と、おみよは笑った。
「よろしいのですよ。でも、内儀さん、お身体だけは大切になさって下さいね。旦那様のためにも、そして―もしかしたら、生まれてくるはずのお二人のお子様のためにも」