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第24章 第十話　【宵の花】　　其の弐

　おみよは気丈にも何げないふりを装うとしている。しかし、根が正直な彼女に嘘をつき通すことは無理だった。
　お彩は、思いつめたまなざしを向けた。
「泰助さんは、旦那様を人の心を弄ぶ鬼だ、許せないと言っていました。大番頭さんは、先の内儀さんが酷い死に方をなさったとも」
　それでも、おみよは何も言わない。うつむいて頑なに黙り込んだままだ。
　お彩は必死な面持ちで言った。
「お願い、おみよさん。本当のことを教えて下さい。旦那様と前の内儀さんとの間に何があったというのですか。私は、ただ真実を知りたいのです。これまで私は先代のお嬢様はご病気で亡くなられたとしか聞かされていませんでしたから」
　お彩の懸命さに心動かされたのか、おみよが顔を上げた。