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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第24章 第十話 【宵の花】 其の弐
おみよが再びうつむいた。
「内儀さんがどうでもお知りになりたいと仰せならば、私はお話いたします。ただ、今から申し上げるお話は、あくまでも私の立場から拝見した事の経緯(いきさつ)にて、それだけはご承知おき下さいませ」
おみよは、所詮は物事というものは当事者にしか判らないものだと前置きをしてから、話し始めた。
それは、お彩が考えてもいなかった話であった。
陽太と呼ばれていた手代頭と五代目京屋市兵衛の長女お市の祝言が挙げられたのは、今から十三年も昔のことになる。この結婚により、陽太は奉公人から一躍京屋という大店で若旦那と呼ばれる身分になった。
「内儀さんがどうでもお知りになりたいと仰せならば、私はお話いたします。ただ、今から申し上げるお話は、あくまでも私の立場から拝見した事の経緯(いきさつ)にて、それだけはご承知おき下さいませ」
おみよは、所詮は物事というものは当事者にしか判らないものだと前置きをしてから、話し始めた。
それは、お彩が考えてもいなかった話であった。
陽太と呼ばれていた手代頭と五代目京屋市兵衛の長女お市の祝言が挙げられたのは、今から十三年も昔のことになる。この結婚により、陽太は奉公人から一躍京屋という大店で若旦那と呼ばれる身分になった。