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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第24章 第十話 【宵の花】  其の弐
 本当にそうなのだろうか。
 すべてを知ってしまった今、お彩は市兵衛を良人として心から信頼し、愛することができるのだろうか。
 おみよの話を聞いて、何が怖くなったというのだろう。市兵衛がお市や清五郎を結果として殺すしたも同然の仕打ちをしたこと?
 違う。そうではないと、お彩は思った。
 市兵衛がお市や清五郎にしたことは許されはしないけれど、お市たちもまた市兵衛に対して許されぬことをしたのだ。二人が亡くなってしまったのは哀しいけれど、市兵衛は二人を殺そうと思っていたわけではないし、二人が死んだことにより、確かにもう十分に罪の意識に苦しんだだろう。
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