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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第4章 第二話【花影】-其の壱-
 堅物で真面目な父のことだから、母亡き後の自分の育て方、接し方が悪かったのかと自分を責めるかもしれない。さんざん父に辛い想いをさせておいて、この上、哀しませることだけはしたくなかった。どんな場合においても、常に真実を白日の下にさらすことが最良の道とは限らない。時には永遠に知らせない方が相手のためには必要なことがある。
 だが、真実を告げる云々はともかく、これまで父に対して取った数々の行いについては一度はきちんと詫びておく必要があった。
 が、父への想いが春の淡雪のように消えたからといって、すぐに昔のような無邪気な娘に戻れるかといえば、それも難しい。勝手に恋だと信じ込んで父に心ない言葉を吐いていた自分がひどく稚い子どものように思え、恥ずかしくて、まともに父の顔を見ることができないのだった。
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