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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第28章 第十一話 【螢ヶ原】 其の四
死を決めたときの伊勢次の心根を推し量ると、お彩はいっそこのまま自分も伊勢次の後を追おうかとも思うのだった。そうすれば、いっそのこと、自分が伊勢次を死に追いやったと悩まなくても済む。その方がどれだけ楽かしれない。
だが、ある時、ふと気付いたのだ。
それは、伊勢次の葬いを出して半月ほど後のことだった。
村には既に早い秋の気配が立ち込めている。日中はまだまだ暑いが、朝夕の空気にはひんやりとしたものが混じり始めた。
お彩は既に臨月を迎えていた。
もういつ産気づいてもおかしくないと村の産婆からも告げられている。そんなある日、お彩の腹の子が久しぶりに動いた。
だが、ある時、ふと気付いたのだ。
それは、伊勢次の葬いを出して半月ほど後のことだった。
村には既に早い秋の気配が立ち込めている。日中はまだまだ暑いが、朝夕の空気にはひんやりとしたものが混じり始めた。
お彩は既に臨月を迎えていた。
もういつ産気づいてもおかしくないと村の産婆からも告げられている。そんなある日、お彩の腹の子が久しぶりに動いた。