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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第30章 第十二話 【花見月の別れ】 其の壱
到底、枕も上がらぬ病人とは思えないほどの気迫である。
お彩は黙って、おきわの言葉のつぶてを受け止め続けた。たとえ、どれほど責められても憎まれても当然のことと思い定めて、どんな言葉をも受け容れるつもりでここに来た。
重たい沈黙がその場に満ちた。
その時、赤子の泣き声が気まずい静けさを破いた。お彩は慌てて背に負うたお美杷の小さな身体を揺さぶった。どうやら、赤子がただならぬ雰囲気に目を醒ましたらしい。
「そう言えば、あんた、身ごもってたんだってね」
おきわの言葉には棘のようなものが含まれている。
お彩は黙って、おきわの言葉のつぶてを受け止め続けた。たとえ、どれほど責められても憎まれても当然のことと思い定めて、どんな言葉をも受け容れるつもりでここに来た。
重たい沈黙がその場に満ちた。
その時、赤子の泣き声が気まずい静けさを破いた。お彩は慌てて背に負うたお美杷の小さな身体を揺さぶった。どうやら、赤子がただならぬ雰囲気に目を醒ましたらしい。
「そう言えば、あんた、身ごもってたんだってね」
おきわの言葉には棘のようなものが含まれている。