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Memory of Night 番外編
第3章 熱々、バレンタインデー!
菓子作りなんて今までしたことがない。
面倒そうに眉をひそめる宵に、晃は期待の眼差しを向ける。
「……そんな目されてもなぁ。作ったことねーし」
そうは言っても、根っからの貧乏性が染み付いてしまったのか、貰いっぱなしなのも気が引けた。
手作りの物を貰ったのだから、同等の物を返したい。
だが、だからといって器用な晃と同等のものを自分が作れる自信はなかった。
(つか無理だろ)
腕を組んでしばらく考えていると、ふいに晃が笑い出した。
「嘘だよ、ただのジョーク。君にお菓子なんて作れないだろ。別のものを要求するから、いいよ」
晃の言葉に、宵は首をかしげる。
「別のもの……って?」
「ものというかなんというか。『今日一日ダーリンの言うことなんでも聞いちゃいます券』的なもの」
「なんだよその肩たたき券みてーなの。つかダーリンてなんだ気持ち悪ぃな!」
本気で引いているような顔を向けられ、晃が細かい説明を加える。
「そのまんま。明日の朝まで宵が俺の命令をなんでも聞く券」
「なんでそんなものを……」
予想はつくものの、つい声に出して確かめてしまう。