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Memory of Night 番外編
第3章 熱々、バレンタインデー!

 ――浴室全体に立ち上る湯気で視界が曇る。
 背中に当たる白いタイルは最初は冷たかったのに、今は自分の体温と綺麗に溶け合いただツルツルした感触だけを宵に与えていた。

「足、開いて。全部洗ってやるって言っただろ?」
「いい、自分で……っ」
「君に拒否権はないんだよ。今日は俺の言いなりになる約束だろ? 開けよ、宵の恥ずかしいところが丸見えになっちゃうくらいに大きく」

 晃は泡まみれのタオルを持ってじわじわと間隔を詰めてくる。
 すっかり壁際に追いつめられてしまった宵には、ただ首を振って拒否の意を示す以外になすすべがなかった。
 腕や腹にはところどころに泡がついたまま。普通に洗ってくれるならここまで抵抗しないけれど、さっきから晃の触り方は普通ではないのだ。

「早くしろよ」

 低く促し、晃はわずかに茶色い瞳を細めた。
 徐々に間合いを詰められ、観念するしかなかった。
 羞恥で体が震える。もともと何も身につけていない体を隠すものは何もなかった。
 宵はなるべく晃を視界に入れないようにと強く瞳を閉じ、膝を曲げた状態で座っていた足を、ゆっくりと開いた。
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