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Memory of Night 番外編
第4章 Episode of AKIRA
わずかに顔をしかめた宵には気付かないらしく、店員は変わらないテンションでセールストークを続けている。
「こちら、オープンセールでだいぶお安くなっていまして、今買うととぉってもお得なんですよー! あ、どうぞご試着してみてください!」
言うないなや、宵の黒いパーカーに手をかけた。
「え……」
ぎょっとする宵に構わず、服を脱がせようと襟元を掴む。
女性店員は左手にシャツを抱えているため、片手だけを使ってパーカーを脱がそうとしていた。
女性の手を乱暴に振り払うわけにもいかず、パーカーの下には半袖のティーシャツを着ているため脱いでも大丈夫なはずだったが、一つだけ問題があった。
それは、情事の痕。
調子に乗った晃がつけまくったせいで、腕やら首筋には鬱血の痕がすごい。
肌が白くてそういったものが目立ちやすい自覚もあるので、ここでティーシャツ一枚になるのはかなり躊躇われた。
売ることに夢中な店員から逃れようと、狭い通路の中で宵が一歩下がった時だった。
ふいに晃の手が伸び、若い女性店員の手を握った。
柔肌を包みこむようにそっと。