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Memory of Night 番外編
第4章 Episode of AKIRA
晃は笑みを絶やさぬまま、女性の瞳から目をそらさない。
(あの目にみんなやられるんだよなー)
宵は小さく嘆息する。
晃の茶色い、切れ長の瞳。あれには何か不思議な効力がある気がしてならない。
指でそっと視点を固定され、あの瞳に見つめられると、それだけで変な呪縛にかかったような気分になる。
(俺の場合は、惚れた弱味ってやつなのかな……)
絶対に口には出さないけれど。そんなの、晃をつけあがらせるだけだ。
けれどもそうのんびりと晃を分析している暇はない。
店員を見つめる晃の瞳に、アブナイ光が宿り始めていた。
このまま放っておいたらまた生来のS気質が目覚めてしまうかもしれない。
店員は酸欠の金魚みたいに顔を真っ赤にしたまま口をぱくぱくさせている。
目はどこか恍惚としていて、マジで落とされる五秒前的な。
宵は意を決し、晃の首根っこを掴んで力いっぱい引っ張った。
そうして強引に女性店員から引き剥がし、晃にそっと耳打ちする。
「……助け舟を出してくれたのは感謝するけど、ちょっとやりすぎ。店員口説いてどーすんだよ?」
「あ……ヤキモチ?」
「じゃなくて、少しは周りの目を気にしろ」
そう言って、宵は顎でしゃくって店内を示す。