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Memory of Night 番外編
第4章 Episode of AKIRA
惹かれた理由。それは確かに気になった。
目前にある茶色い瞳は、確かに昔を懐かしむように細められているが、一体何を思い浮かべているのかわからない。
宵は問いかけようとしたが、口を開く直前、不意に隣で女性の声が響いた。
「空いたお皿お下げしてもよろしいですか?」
腰をかがめ、笑顔で尋ねてくる店員に宵は思わず舌打ちしそうになった。
「どうぞ」
だが晃は至って紳士的に、見慣れたいつもの笑顔を浮かべている。
普段は何も思わないのに、今日だけは癪にさわる。
「もう出ようか」
店員が去っていくのを見届けながら、晃はそう口にする。
確かに少し長居しすぎた気がする。
三時をまわっていることもあって、周りの席には二組しか客がいない。
夜の仕込みにでも入るのか、店員たちもばたばたと慌ただしかった。
宵にしてみれば話は途中だし、また晃にはぐらかされたように思えてなんとなく腑に落ちなかったが、この店を出ることには賛成だった。
宵が小さく頷く。
二人は席を立ち、鞄を持ってレジに向かった。