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Memory of Night 番外編
第4章 Episode of AKIRA
宵の春服は一応買ったし、ここに来た目的は達成できた。
紳士服の店も、だいたい見終えたと思う。
このまま帰っても良かったが、晃の意向で最上階の本屋に行くことになった。
「ごめんね、ちょっと参考書が見たくて」
「……別に」
ここに連れてきてくれたのは、平たく言えば宵のためだ。一日中春服選びに付き合ってくれていたのだから、晃の買い物に付き合うのも当然だと思う。
それ自体は別に構わない。
ただやはり先ほどの晃の言葉が気になるのも確かで、ついぶっきらぼうな返答をしてしまった。
エレベーターは人が多くて、二人は結局諦めてエスカレーターで最上階まで行くことにした。
その間中晃の後ろでむっつりと沈黙している宵を、晃はちらりと振り返る。
「……そんなに知りたい? 俺が君を好きになった理由。それとも昔の恋愛事情?」
宵は一瞬ためらう素振りを見せてから、歯切れが悪そうに答えた。
「……両方知りたい」
晃の苦笑する声が響く。
「それはまあ、嬉しいけど。どうしようかな。……話したら引かれそうで」
首をかしげながらつぶやいた。