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Memory of Night 番外編
第4章 Episode of AKIRA
「なんだ……あれ」
宵は思わず息を呑んだ。
エスカレーターを挟んで反対側の通路に建つ、一軒の店舗。
遠目からでもよくわかる、そこにはありとあらゆる格好をした人形が、ショーウインドウ越しに飾られていた。
「行ってみようか」
好奇心を刺激されたのだろうか。晃は目的地だった本屋をあっさりと引き返し、人形を売る店へと向かう。
宵もその後を追った。
店の前には小さく『Dollsショップ』と書かれている。
ショーウインドウ越しに飾られているのは透き通るような青い瞳とブロンドの髪が鮮やかな、外国色の女の子。等身大の大きさだ。あまり広くない店にそんな人形が何体も飾られていた。
服屋に飾られているマネキンにも似ている気がしたが、あれよりもずっとリアルで、まるで生きているみたいだ。
店からは、オルゴールが流れている。下の喧騒が嘘のように人の声はなく、ガチャガチャとうるさいBGMもない。
こんな店がショッピングモールの中にあるとは思わなかった。
「いらっしゃい」
ふいにそう声をかけられ、ガラス越しに中の人形を眺めていた宵は飛び上がりそうになった。