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Memory of Night 番外編
第4章 Episode of AKIRA
どうしてこの人形が懐かしいのか。
晃の傍らに立ち、ガラスの中のそれを眺めてみても特別な感じはしない。他のと同じやたらとリアルな等身大の人形だ。
「いや、これがってわけじゃないけど」
そう言って、晃は他のアンティークもちらりと見渡す。
「……もしかして、こういうの集める趣味があるとか?」
値段もなく、等身大の人形がいくらなのかは知らないが、おそらくかなり価値のあるものなのだろう。そんな雰囲気は人形を見れば伝わってくるし、店のおじさんもそんなようなことを言っていた。
けれども、晃の家はかなり裕福だし、晃が望めば買い与えてもらえる気がする。
だが、晃は首を横に振ってそれを否定した。
「なら、親が集めてるとか?」
晃の母親は着物や浴衣(ゆかた)を集めるのが好きだと、前に聞いた。
宵は晃の家を思い浮かべてみるが、晃の部屋はもちろん、お邪魔させてもらった和室やその他の部屋諸々を思い返してみても、人形らしきものを見た記憶はなかった。
どこかにしまってあるのだろうか。
こんな大きなものを?
第一人形なんて、飾っておかなければ価値がない気がする。