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Memory of Night 番外編
第4章 Episode of AKIRA
――晃が物心ついた時から、晃の両親は仕事中心の生活を送っていた。
両親が家に揃うことはほとんどなく、父は特に、家に帰らない日が多い。
父は医院長、母は看護師、ただでさえ不規則で、急患が入れば呼び出されることも多い職種なのだから仕方がなかった。
誕生日やクリスマスなどの記念日に祝ってくれるのはほとんど母だった。いつも母と二人で手作りのケーキを囲んでいた。
晃の母も多忙だったが、晃にとっての特別な日に何も作らなかった日は、晃が覚えている限りでは一度もない。
例え夜勤明けだろうと翌日早番だろうと、ケーキと晃の好物だけは必ず作ってくれた。
できれば一緒に。どうしても祝えない日は、メッセージカードと共にテーブルに並べられたご馳走を温めて食べた。
どんなに疲れていようとも、母は自分の為に精一杯祝ってくれる。
家にいることがあまりない父だって、たまに帰れば大事な仮眠や休息の時間を削って晃の交友関係や成績、学校での生活をいろいろと聞きたがった。
だから晃には、親にきちんと愛されているのか不安になったことは一度もなかった。